【黄昏少女の憂鬱】
自作小説を掲載していこうと思っています。 18禁の表現が一部存在しますので、お気を付けくださいませ。 叶うなら、皆様の癒しになりましように・・・・・・。
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◆堕天連鎖◆
「い、頂きます」
目の前に並んでいるのは、ご飯、卵焼き、みそ汁という朝食としては定番の料理だった(ちなみに材料は百合が持ってきた)。俺は素直に手を合わす。
「……どうぞ」
なんだか素っ気ないんだか、緊張してるんだか分からない声だ。
不機嫌だったのに何か関係でもあるんだろうか?
それにしても…旨いな。
考え事をしている間にも、俺の手は次々と料理に伸びていく。
昨日は何も食ってないから、余計に美味しく感じるのだろう。
俺は襖の向こうで壮絶な葛藤をしているであろうレンに心の中で手を合わせる。
「・・・・・・どう?美味しい?」
百合が探るような目つきで聞く。
「ああ、旨いよ」
「・・・・・・そう」
百合の手料理を食べる時はいつもそうだ。何だか俺の好みを探るような素振りを見せる。……直接聞けばいいものを……難儀な奴だ。
「この卵焼きなんか半熟加減が最高!」
「匠は半熟卵好きだもんね」
「ああ、焼きすぎで固まった卵なんてのは考えられない!ありゃ卵に対する冒涜だよ!冒涜!」
「……それは言い過ぎでしょ」
「そんな事はないって!世界の真理といっても過言じゃない!」
「……」
百合が呆れたような表情をする。
てか俺もなんでこんなに熱く語ってるんだろ…。
急に恥ずかしくなってきた。
「でもさ、さっきは一体何だったの?なんだか騒がしかったみたいだけど?」
「な、なんでもない」
「なんかすごい音もしてたんだけど……」
「なんのことかな?」
グーーーーー。
「……」
「……」
あはは…。
「今なんか変な音しなかった?」
「お、俺の腹の音だよ!」
「……ベットの方から聞こえてきた気がするんだけど」
「……そ、そういう時もある」
「そういう時ってどういう時よ!」
「あっ、待てよ!」
百合がベットに向かう。
まじでまずいぞ・・・・・・。
「なんで布団がないのよ?」
「ちょっと……暑くて」
「今、12月よ!?」
「……」
俺は黙る。
何も言い返すことができない。
どうか神様、仏様・・・・・・俺は必死に願う。
俺のそんな態度に何か感じる物があたのか、百合はベットの辺りを警戒しながら近づいている。
「布団がないってことはどこかに隠したってことね……。あの大きな音もその時だわ。だとするとこの周辺で隠せそうな場所といえば……―」
……お前はどこの探偵だよ。
「―ここね!」
ばっと襖を開ける。
「にゃう!」
「きゃ!」
中から何かが飛び出してきて、百合に覆い被さるような体勢になる。中から飛び出してきたのは、もちろんレンだ。
現実は無情だった。
やっぱり神様も仏様も、たった数分の入信では助けてくれないらしい。それにしても・・・・・・もう見つかってしまった。
「なっ!?なによ貴女は!」
百合は混乱している。
「うぅ〜、お腹空いたよ〜!」
こいつはこの際放っておこう。お腹が減りすぎて泣いてるが、放っておこう……。
「た、匠!?」
「は、・・・・・・はい」
百合の顔を見るのが恐い。でも俺は悪い事はしていない……はずだ。彼女とだって別れてるし!
なのにこんなに恐いのは何故だ!
「……匠」
「……」
どんどん冷えていく百合に余計に不気味さを感じる。
俺は恐る恐る、百合の方へ顔を向けた。
「……えっ?」
百合の顔は青白くなっていた。目尻には涙まで溜めている。
「……」
「……」
どうしたんだろう?もしかしてレンがいたから?たぶんそう考えるのが妥当なんだろう。
「……ど、どうしたの?」
「……た…くみ」
「ん?」
「私も…一緒に行ってあげる…から」
「はっ?」
一緒に行く?どこへ?
百合は涙声で続ける。
「一緒に…謝って…あげるから!」
「な、なに言って……―」
「……だから自首しよう?」
「自首?えっ……はああああぁぁぁぁーーーー!!!!」
俺の絶叫が迸る。
布団にくるまれて身動きがほとんどとれない。
お腹が空いたと、しきりに叫ぶ。
おもいっきり泣いている。
俺の家の襖に入れられていた。
―これってやばくね?
俺はようやくその事実に思い至った。
―頼むからレン!そんなに悲しそうな顔するな!俺だけご飯食べて悪かった!だから・・・・・・うわっ、百合!?警察に連絡するのだけはやめてくれーーーー!!!!!
目の前に並んでいるのは、ご飯、卵焼き、みそ汁という朝食としては定番の料理だった(ちなみに材料は百合が持ってきた)。俺は素直に手を合わす。
「……どうぞ」
なんだか素っ気ないんだか、緊張してるんだか分からない声だ。
不機嫌だったのに何か関係でもあるんだろうか?
それにしても…旨いな。
考え事をしている間にも、俺の手は次々と料理に伸びていく。
昨日は何も食ってないから、余計に美味しく感じるのだろう。
俺は襖の向こうで壮絶な葛藤をしているであろうレンに心の中で手を合わせる。
「・・・・・・どう?美味しい?」
百合が探るような目つきで聞く。
「ああ、旨いよ」
「・・・・・・そう」
百合の手料理を食べる時はいつもそうだ。何だか俺の好みを探るような素振りを見せる。……直接聞けばいいものを……難儀な奴だ。
「この卵焼きなんか半熟加減が最高!」
「匠は半熟卵好きだもんね」
「ああ、焼きすぎで固まった卵なんてのは考えられない!ありゃ卵に対する冒涜だよ!冒涜!」
「……それは言い過ぎでしょ」
「そんな事はないって!世界の真理といっても過言じゃない!」
「……」
百合が呆れたような表情をする。
てか俺もなんでこんなに熱く語ってるんだろ…。
急に恥ずかしくなってきた。
「でもさ、さっきは一体何だったの?なんだか騒がしかったみたいだけど?」
「な、なんでもない」
「なんかすごい音もしてたんだけど……」
「なんのことかな?」
グーーーーー。
「……」
「……」
あはは…。
「今なんか変な音しなかった?」
「お、俺の腹の音だよ!」
「……ベットの方から聞こえてきた気がするんだけど」
「……そ、そういう時もある」
「そういう時ってどういう時よ!」
「あっ、待てよ!」
百合がベットに向かう。
まじでまずいぞ・・・・・・。
「なんで布団がないのよ?」
「ちょっと……暑くて」
「今、12月よ!?」
「……」
俺は黙る。
何も言い返すことができない。
どうか神様、仏様・・・・・・俺は必死に願う。
俺のそんな態度に何か感じる物があたのか、百合はベットの辺りを警戒しながら近づいている。
「布団がないってことはどこかに隠したってことね……。あの大きな音もその時だわ。だとするとこの周辺で隠せそうな場所といえば……―」
……お前はどこの探偵だよ。
「―ここね!」
ばっと襖を開ける。
「にゃう!」
「きゃ!」
中から何かが飛び出してきて、百合に覆い被さるような体勢になる。中から飛び出してきたのは、もちろんレンだ。
現実は無情だった。
やっぱり神様も仏様も、たった数分の入信では助けてくれないらしい。それにしても・・・・・・もう見つかってしまった。
「なっ!?なによ貴女は!」
百合は混乱している。
「うぅ〜、お腹空いたよ〜!」
こいつはこの際放っておこう。お腹が減りすぎて泣いてるが、放っておこう……。
「た、匠!?」
「は、・・・・・・はい」
百合の顔を見るのが恐い。でも俺は悪い事はしていない……はずだ。彼女とだって別れてるし!
なのにこんなに恐いのは何故だ!
「……匠」
「……」
どんどん冷えていく百合に余計に不気味さを感じる。
俺は恐る恐る、百合の方へ顔を向けた。
「……えっ?」
百合の顔は青白くなっていた。目尻には涙まで溜めている。
「……」
「……」
どうしたんだろう?もしかしてレンがいたから?たぶんそう考えるのが妥当なんだろう。
「……ど、どうしたの?」
「……た…くみ」
「ん?」
「私も…一緒に行ってあげる…から」
「はっ?」
一緒に行く?どこへ?
百合は涙声で続ける。
「一緒に…謝って…あげるから!」
「な、なに言って……―」
「……だから自首しよう?」
「自首?えっ……はああああぁぁぁぁーーーー!!!!」
俺の絶叫が迸る。
布団にくるまれて身動きがほとんどとれない。
お腹が空いたと、しきりに叫ぶ。
おもいっきり泣いている。
俺の家の襖に入れられていた。
―これってやばくね?
俺はようやくその事実に思い至った。
―頼むからレン!そんなに悲しそうな顔するな!俺だけご飯食べて悪かった!だから・・・・・・うわっ、百合!?警察に連絡するのだけはやめてくれーーーー!!!!!
テーマ : 恋愛:エロス:官能小説 - ジャンル : 小説・文学
◆堕天連鎖◆
ゆ、百合が来てしまった。
いつもなら何の問題もない。朝ご飯まで作ってくれるのだから、むしろ歓迎するくらいだ。
だが今までとは事情が違う。
ぶっちゃけヤバイ。
ぶっちゃけなくてもヤバイ。
俺は振り返る。
「あはっ?」
無邪気な笑顔を振りまくレンがいる。昨日のできごとは夢ではないのだ。この二人を会わせたらどうなるか……。
俺はシミュレートしてみる―
「おお、百合!待ってたぞ!」
「そう?」
「腹が減ってたからな!」
「……なによ、それ」
「いいじゃないか!俺、百合の作るご飯好きだし」
「……まったく、調子いいんだから、あれ?あの子は?」
百合がレンを指さす。レンはレンで、不思議そうな表情を浮かべている。
「いや、何。実は昨日から一緒に住んでるんだよ!はっはっは」
「あ〜そうなんだ」
「お腹空いた〜!!」
レンが叫んだ。
「じゃあ今すぐ朝ご飯作るわね!」
「おお、頼むよ」
「お願いね〜!」
そして三人は穏やかな朝日を浴びながら、仲良く朝ご飯を食べるのであった・・・・・・。
―シミュレート終了。
「……」
何故だろう。
俺には絶対の自信があった。
「……ありえないな」
さっきのシミュレートした事はありえない…と。
ぞう断言できるのなら、シミュレートしてみた意味がなくなるが、そこについては触れないでくれたまえ。
俺と百合のキャラが違いすぎるという点についてもだ。
ドンドン。
「早く開けなさいよ!!」
ドアを叩きながら、百合が怒鳴る。そりゃ、この寒い中外で待たされたらたまらないだろう。
「ちょ、ちょっと待ってろ!」
「何でよ!」
「なんでもだ!」
俺はレンの所までダッシュ(およそ3メートル)する。そして、ベットの上でまだお腹が空いたと呟いているレンをそのまま布団にくるみ、襖の中へ放り込んだ。
「いいか!俺がいいって言うまでぜっっっっっったいに出てくるなよ!」
「たっくん痛いよ〜、首が曲がってるよ〜、お腹減ったよ〜!」
「出てくるなよ!」
「お腹減ったよ〜!」
・・・・・・しつこい奴だ。
「ご飯は後で食べさせてやる!だから出てくるなよ!」
「本当!?」
「あ、ああ、本当だ」
た、たぶん・・・・・・な。
「じゃあ、ここでじっとしてる!」
よし、よし。これで俺の不運の元凶を閉じこめることができた。
俺はダッシュで玄関まで戻り、ドアを開ける。
「お、おは―」
「おっそ〜〜〜〜〜〜い!!」
「うぉ!?」
俺がなんとか作った笑いが、大音量に吹き飛ばされる。
「一体、いくら待たせるのよ!」
「ご、ごめんって」
「遅刻したらどうするのよ!」
「・・・・・・」
今日はいつもより機嫌が悪い。確か昨日は良かったはずなのに・・・・・・。これでもしレンが出て来たらと思うと、背筋が震える。
俺と百合は別に恋人同士って訳じゃないのに、百合はやたらと俺の"人間関係"やら"友情"やら"恋愛"にいたるまで手を焼こうとするからな……。
「ふぅ〜」
百合は一度溜息を吐いて、俺の部屋に入る。
向かうのはキッチンだ。俺もその後に続いて部屋の中に戻った。
しばらくリビングで待っていると、ジューという何かを焼く音と一緒に、いい匂いが漂ってきた。
そういえば―
腹が減っているレンがこの匂いに耐えられるだろうか……?
ふとそんなことを思い出した。
レンは俺と約束した。…した…はずだ。
「耐え・・・・・・られるよな?」
耐えられる気がまったくしないのは、俺の気のせいだと信じたい……。
いつもなら何の問題もない。朝ご飯まで作ってくれるのだから、むしろ歓迎するくらいだ。
だが今までとは事情が違う。
ぶっちゃけヤバイ。
ぶっちゃけなくてもヤバイ。
俺は振り返る。
「あはっ?」
無邪気な笑顔を振りまくレンがいる。昨日のできごとは夢ではないのだ。この二人を会わせたらどうなるか……。
俺はシミュレートしてみる―
「おお、百合!待ってたぞ!」
「そう?」
「腹が減ってたからな!」
「……なによ、それ」
「いいじゃないか!俺、百合の作るご飯好きだし」
「……まったく、調子いいんだから、あれ?あの子は?」
百合がレンを指さす。レンはレンで、不思議そうな表情を浮かべている。
「いや、何。実は昨日から一緒に住んでるんだよ!はっはっは」
「あ〜そうなんだ」
「お腹空いた〜!!」
レンが叫んだ。
「じゃあ今すぐ朝ご飯作るわね!」
「おお、頼むよ」
「お願いね〜!」
そして三人は穏やかな朝日を浴びながら、仲良く朝ご飯を食べるのであった・・・・・・。
―シミュレート終了。
「……」
何故だろう。
俺には絶対の自信があった。
「……ありえないな」
さっきのシミュレートした事はありえない…と。
ぞう断言できるのなら、シミュレートしてみた意味がなくなるが、そこについては触れないでくれたまえ。
俺と百合のキャラが違いすぎるという点についてもだ。
ドンドン。
「早く開けなさいよ!!」
ドアを叩きながら、百合が怒鳴る。そりゃ、この寒い中外で待たされたらたまらないだろう。
「ちょ、ちょっと待ってろ!」
「何でよ!」
「なんでもだ!」
俺はレンの所までダッシュ(およそ3メートル)する。そして、ベットの上でまだお腹が空いたと呟いているレンをそのまま布団にくるみ、襖の中へ放り込んだ。
「いいか!俺がいいって言うまでぜっっっっっったいに出てくるなよ!」
「たっくん痛いよ〜、首が曲がってるよ〜、お腹減ったよ〜!」
「出てくるなよ!」
「お腹減ったよ〜!」
・・・・・・しつこい奴だ。
「ご飯は後で食べさせてやる!だから出てくるなよ!」
「本当!?」
「あ、ああ、本当だ」
た、たぶん・・・・・・な。
「じゃあ、ここでじっとしてる!」
よし、よし。これで俺の不運の元凶を閉じこめることができた。
俺はダッシュで玄関まで戻り、ドアを開ける。
「お、おは―」
「おっそ〜〜〜〜〜〜い!!」
「うぉ!?」
俺がなんとか作った笑いが、大音量に吹き飛ばされる。
「一体、いくら待たせるのよ!」
「ご、ごめんって」
「遅刻したらどうするのよ!」
「・・・・・・」
今日はいつもより機嫌が悪い。確か昨日は良かったはずなのに・・・・・・。これでもしレンが出て来たらと思うと、背筋が震える。
俺と百合は別に恋人同士って訳じゃないのに、百合はやたらと俺の"人間関係"やら"友情"やら"恋愛"にいたるまで手を焼こうとするからな……。
「ふぅ〜」
百合は一度溜息を吐いて、俺の部屋に入る。
向かうのはキッチンだ。俺もその後に続いて部屋の中に戻った。
しばらくリビングで待っていると、ジューという何かを焼く音と一緒に、いい匂いが漂ってきた。
そういえば―
腹が減っているレンがこの匂いに耐えられるだろうか……?
ふとそんなことを思い出した。
レンは俺と約束した。…した…はずだ。
「耐え・・・・・・られるよな?」
耐えられる気がまったくしないのは、俺の気のせいだと信じたい……。
テーマ : 恋愛:エロス:官能小説 - ジャンル : 小説・文学
◆堕天連鎖◆
『ボク、トラエモンだよ!起きて!起きて!』
「……うるさい」
枕元からなんかとてつもなくでかい声が聞こえてきた。
俺はふとんを頭からかぶる。
これで防音は完璧だ。
『起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きろ!』
「……」
俺は上半身だけ立ち上がる。
そして俺の睡眠を妨害しやがった諸悪の根源を睨み付ける。
これは…あれだ、確か昨日レンがトラエモンだとか言ってた目覚ましだ。
ここまで連呼されると気味が悪くなってくる。
しかもなんかむかつくし・・・・・・。
俺は『起きて!』から『起きろ!』に声が変わったトラエモンの目覚まし時計を止めようと、頭についているボタンを押した。
すると―
『ばーか、ばーか!そこはダミーだよ、ボケ!"目覚まし時計は頭のボタンを押したら止まる"なんて浅はかな奴だ。そんなんじゃこれから競争が激しくなっていく社会じゃ生きていけないぜ・・・・・・、ふぅ〜』
「……」
俺は無言でまだ『起きろ!』と騒がしく叫んでいるトラエモンの目覚ましを掴んで壁に向かって投げ捨てた。
「……最悪の目覚めだ」
トラエモンって子供向けの番組じゃなかったっけ……?こんなんだから世の中がどんどん腐敗していくんじゃなかろうか……。
「……ふ……んっ」
「ん?」
俺は背後に息づかいを感じて振り向く。
「はぅ・・・・・・お腹・・・・・・すいたよぉ〜」
「うわっ!?」
そこにはあどけない寝顔をしたレンがいた。
「な、なんで・・・・・・!」
ま、待て。落ち着け。
昨日のことを整理してみよう。
確かレンが急にここを俺とレンの二人の家だと言い出したんだ。
それでなんとか諦めさせようとベットが一つしかないとかいろいろ言ったのだが、事も在ろうにレンは"同じベットでいいじゃん"とか宣言しやがったんだ。
それで…なりゆきで…だったかな?
てか女の子と二人っきりで同じベットに寝て何もないなんて男としてどうなんだろう……。
「ふゎあぁ・・・・・・おはよう〜たっくん・・・・・・」
レンがゴシゴシとまだ開ききってない瞼をこすりながら、それでも俺に笑いながら挨拶をする。
なんだか癒される光景だ。
「あ、ああ、おはよう」
レンはベットの上で女の子座りになりながらまだ少しウトウトしていた。
ちなみにレンが着ているのは、俺のシャツとジャージのズボンである。
特にシャツはぶかぶかで、ちょっと目のやり場に困ってしまう。
「ねぇ、たっくん」
「な、なんだ?」
レンが身を乗り出す。胸元から肌がちらりと覗く。
なんだか甘い匂いまで漂ってくるようだ。
その情景にクラッとくるが、耐えるしかない…。
昨日から一日いてみて分かったことなのだが、レンは最初の予想通り、相当な世間知らずだ。なのに、ふとした仕草の一つ一つがとっても色っぽくて誘っているようにしか見えない。
その上それが天然だから余計にたちが悪いのだ。
俺にさらに近寄ってくるレンと少しずつ距離を取りながら俺は平静を取り戻す。
「お腹減った!」
「・・・・・・朝からそれかよ」
「だって昨日から何にも食べてないよ!」
「金がないんだからしょうがないだろ」
「う〜〜〜〜〜っ!」
ピンポーン。
その時、インターホンが鳴った。
俺はレンから逃げるようにして玄関へ向かう。誰だか分からないけど神の助けだ。
「は〜い―」
ピタ。
俺の思考と動きがストップ。
この向こうにいるのは誰か?
昨日こんな事を言っている奴がいなかったか?
"明日は迎えに来る"
「ゆ、・・・・・・百合?」
「うん、早く開けなさいよ。ついでに朝ご飯も用意してあげるから」
俺の全身から血の気がスーと引いた・・・・・・。
「……うるさい」
枕元からなんかとてつもなくでかい声が聞こえてきた。
俺はふとんを頭からかぶる。
これで防音は完璧だ。
『起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きて!起きろ!』
「……」
俺は上半身だけ立ち上がる。
そして俺の睡眠を妨害しやがった諸悪の根源を睨み付ける。
これは…あれだ、確か昨日レンがトラエモンだとか言ってた目覚ましだ。
ここまで連呼されると気味が悪くなってくる。
しかもなんかむかつくし・・・・・・。
俺は『起きて!』から『起きろ!』に声が変わったトラエモンの目覚まし時計を止めようと、頭についているボタンを押した。
すると―
『ばーか、ばーか!そこはダミーだよ、ボケ!"目覚まし時計は頭のボタンを押したら止まる"なんて浅はかな奴だ。そんなんじゃこれから競争が激しくなっていく社会じゃ生きていけないぜ・・・・・・、ふぅ〜』
「……」
俺は無言でまだ『起きろ!』と騒がしく叫んでいるトラエモンの目覚ましを掴んで壁に向かって投げ捨てた。
「……最悪の目覚めだ」
トラエモンって子供向けの番組じゃなかったっけ……?こんなんだから世の中がどんどん腐敗していくんじゃなかろうか……。
「……ふ……んっ」
「ん?」
俺は背後に息づかいを感じて振り向く。
「はぅ・・・・・・お腹・・・・・・すいたよぉ〜」
「うわっ!?」
そこにはあどけない寝顔をしたレンがいた。
「な、なんで・・・・・・!」
ま、待て。落ち着け。
昨日のことを整理してみよう。
確かレンが急にここを俺とレンの二人の家だと言い出したんだ。
それでなんとか諦めさせようとベットが一つしかないとかいろいろ言ったのだが、事も在ろうにレンは"同じベットでいいじゃん"とか宣言しやがったんだ。
それで…なりゆきで…だったかな?
てか女の子と二人っきりで同じベットに寝て何もないなんて男としてどうなんだろう……。
「ふゎあぁ・・・・・・おはよう〜たっくん・・・・・・」
レンがゴシゴシとまだ開ききってない瞼をこすりながら、それでも俺に笑いながら挨拶をする。
なんだか癒される光景だ。
「あ、ああ、おはよう」
レンはベットの上で女の子座りになりながらまだ少しウトウトしていた。
ちなみにレンが着ているのは、俺のシャツとジャージのズボンである。
特にシャツはぶかぶかで、ちょっと目のやり場に困ってしまう。
「ねぇ、たっくん」
「な、なんだ?」
レンが身を乗り出す。胸元から肌がちらりと覗く。
なんだか甘い匂いまで漂ってくるようだ。
その情景にクラッとくるが、耐えるしかない…。
昨日から一日いてみて分かったことなのだが、レンは最初の予想通り、相当な世間知らずだ。なのに、ふとした仕草の一つ一つがとっても色っぽくて誘っているようにしか見えない。
その上それが天然だから余計にたちが悪いのだ。
俺にさらに近寄ってくるレンと少しずつ距離を取りながら俺は平静を取り戻す。
「お腹減った!」
「・・・・・・朝からそれかよ」
「だって昨日から何にも食べてないよ!」
「金がないんだからしょうがないだろ」
「う〜〜〜〜〜っ!」
ピンポーン。
その時、インターホンが鳴った。
俺はレンから逃げるようにして玄関へ向かう。誰だか分からないけど神の助けだ。
「は〜い―」
ピタ。
俺の思考と動きがストップ。
この向こうにいるのは誰か?
昨日こんな事を言っている奴がいなかったか?
"明日は迎えに来る"
「ゆ、・・・・・・百合?」
「うん、早く開けなさいよ。ついでに朝ご飯も用意してあげるから」
俺の全身から血の気がスーと引いた・・・・・・。
テーマ : 恋愛:エロス:官能小説 - ジャンル : 小説・文学
◆堕天連鎖◆
「お腹減ったね〜」
「……だな」
俺とレンはいつの間にか意気投合してしまっていた。
俺がほとんど知らない人とこんなに仲良くできるのは自分でも不思議だ。
「お腹減った……」
「……もう言うな」
・・・・・・本当に仲がいい。お腹の空きぐらいまで。
「お腹―」
「だぁ〜〜〜〜〜〜!!!!!」
俺が急に叫び出すと、レンの体がビクッと震えた。
「な、なに!なんなの!?」
「お腹空いたって何度も言うな!余計に空くだろう!」
「だ、だって本当に―」
「だから言うな!」
「……」
レンが俺を恨めしそうに睨み始めた。
「……そんな目で見るな」
「むぅ〜〜〜〜〜!」
今度はベットに倒れ込んで手足をバタつかせはじめるレン。
……子供かよ。てか思いっきり見えてるよ、パンツとか……。
しかし、お腹が空いたと言われても困るのだ。
なにせ俺とレンの缶コーヒで全財産の半分を使ってしまったのだから・・・・・・。
「てかお前は金持ってないのかよ?」
俺はレンに聞いてみる。
「持ってないよ〜。持ってたら缶コーヒーくらい自分で買うよ……」
もっともな話だ。
「今日は晩飯抜き…かな…?」
俺は一種の悲壮感を漂わせながら言う。
うん。腹減った・・・・・・。
「え〜〜〜〜!!やだよ!何か食べたいよ!」
レンがだだをこねる。
そこで俺は何かに気づいた。
レンが俺の家でご飯を食べるのはいい。
でも何かが引っかかった。
「レン・・・・・・」
「どうしたの?」
「お前・・・・・・いつになったら帰るんだ?」
「ガーン」
俺の問いに帰ってきたのは、そんな擬音だった。ガーンって・・・・・・。
「な、なんだよ」
俺はちょっと引き気味になりながら言う。
「たっくんは私に帰ってほしいの?私なんかいないほうがいいの?」
レンはウルウルと俺を見る。
てかそれはどういう意味だよ・・・・・・。
「ぐっ!そういう訳じゃないけど・・・・・・」
「・・・・・・本当に?」
「あ、ああ」
「私のこと必要?」
「うん、必要だ」
するとレンはぱ〜と笑顔を輝かせる。それは俺にすべてをまいっかとと思わせる程の威力があるものだった。
何だかとんでもないことまで言わされた気がするが、なんだったっけ?
「じゃあ今日からここは私とたっくんの家だね!」
「おい!」
俺は右手で突っ込みを入れる。
「さすがにそれはまずいだろ・・・・・・」
なんていうか・・・・・・倫理的に。俺が倫理とか言うのはどうかと思うのだが。
「何がまずいの?」
レンはキョトンとしていた。
「何がって・・・・・・」
なんかついさっきもこんな展開なかったか?俺はその時の結果がどうなったかを思い出して嘆息する。
どうやら俺はこいつには勝てないみたいだ。
全身に脱力感を感じる。
なんか眠くなってきた。しこたま寝たはずなのだが・・・・・・。
「あっ、これトラエモンの目覚まし時計だ!」
俺は振り向く。
レンが持っていたのは、何かのキャラクターを模した目覚まし時計だ。
「ん?それ好きなのか?」
「うん!好きだよ〜!」
「そうなのか・・・・・・」
ああいうのって小学生までじゃないのかな?と俺は疑問に思う。
「毎週絶対に見てたよ!」
「・・・・・・」
これが流行の最先端を独走しているというオタクというやつだろうか。
でもそれよりも俺は―
「・・・・・・」
"見てたよ"レンの言葉が過去形なのが少し気になったのだった。
時間は流れていく
この瞬間も確実に
俺はそれを止める術を知らないまま
ただ歩いていく
何かを求めて
またその"何か"に求められて
いつか辿りつく終着点で
俺が手にするものは
絶望か
希望か
それは誰にも
分からない・・・・・・。
「……だな」
俺とレンはいつの間にか意気投合してしまっていた。
俺がほとんど知らない人とこんなに仲良くできるのは自分でも不思議だ。
「お腹減った……」
「……もう言うな」
・・・・・・本当に仲がいい。お腹の空きぐらいまで。
「お腹―」
「だぁ〜〜〜〜〜〜!!!!!」
俺が急に叫び出すと、レンの体がビクッと震えた。
「な、なに!なんなの!?」
「お腹空いたって何度も言うな!余計に空くだろう!」
「だ、だって本当に―」
「だから言うな!」
「……」
レンが俺を恨めしそうに睨み始めた。
「……そんな目で見るな」
「むぅ〜〜〜〜〜!」
今度はベットに倒れ込んで手足をバタつかせはじめるレン。
……子供かよ。てか思いっきり見えてるよ、パンツとか……。
しかし、お腹が空いたと言われても困るのだ。
なにせ俺とレンの缶コーヒで全財産の半分を使ってしまったのだから・・・・・・。
「てかお前は金持ってないのかよ?」
俺はレンに聞いてみる。
「持ってないよ〜。持ってたら缶コーヒーくらい自分で買うよ……」
もっともな話だ。
「今日は晩飯抜き…かな…?」
俺は一種の悲壮感を漂わせながら言う。
うん。腹減った・・・・・・。
「え〜〜〜〜!!やだよ!何か食べたいよ!」
レンがだだをこねる。
そこで俺は何かに気づいた。
レンが俺の家でご飯を食べるのはいい。
でも何かが引っかかった。
「レン・・・・・・」
「どうしたの?」
「お前・・・・・・いつになったら帰るんだ?」
「ガーン」
俺の問いに帰ってきたのは、そんな擬音だった。ガーンって・・・・・・。
「な、なんだよ」
俺はちょっと引き気味になりながら言う。
「たっくんは私に帰ってほしいの?私なんかいないほうがいいの?」
レンはウルウルと俺を見る。
てかそれはどういう意味だよ・・・・・・。
「ぐっ!そういう訳じゃないけど・・・・・・」
「・・・・・・本当に?」
「あ、ああ」
「私のこと必要?」
「うん、必要だ」
するとレンはぱ〜と笑顔を輝かせる。それは俺にすべてをまいっかとと思わせる程の威力があるものだった。
何だかとんでもないことまで言わされた気がするが、なんだったっけ?
「じゃあ今日からここは私とたっくんの家だね!」
「おい!」
俺は右手で突っ込みを入れる。
「さすがにそれはまずいだろ・・・・・・」
なんていうか・・・・・・倫理的に。俺が倫理とか言うのはどうかと思うのだが。
「何がまずいの?」
レンはキョトンとしていた。
「何がって・・・・・・」
なんかついさっきもこんな展開なかったか?俺はその時の結果がどうなったかを思い出して嘆息する。
どうやら俺はこいつには勝てないみたいだ。
全身に脱力感を感じる。
なんか眠くなってきた。しこたま寝たはずなのだが・・・・・・。
「あっ、これトラエモンの目覚まし時計だ!」
俺は振り向く。
レンが持っていたのは、何かのキャラクターを模した目覚まし時計だ。
「ん?それ好きなのか?」
「うん!好きだよ〜!」
「そうなのか・・・・・・」
ああいうのって小学生までじゃないのかな?と俺は疑問に思う。
「毎週絶対に見てたよ!」
「・・・・・・」
これが流行の最先端を独走しているというオタクというやつだろうか。
でもそれよりも俺は―
「・・・・・・」
"見てたよ"レンの言葉が過去形なのが少し気になったのだった。
時間は流れていく
この瞬間も確実に
俺はそれを止める術を知らないまま
ただ歩いていく
何かを求めて
またその"何か"に求められて
いつか辿りつく終着点で
俺が手にするものは
絶望か
希望か
それは誰にも
分からない・・・・・・。
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◆堕天連鎖◆
ゴクリッ。
唾を飲み込む音。
誰にも聞こえないはずなのに、俺の中で大きく響く。
目の前には無邪気に微笑むレン。知り合って一時間ぐらいだろうか・・・・・・?
不思議と心安らぐ雰囲気を持っている少女。
いい子だろう。
それは間違いない(コーヒー無理矢理奢らされたけど・・・・・・)。
「このベットふかふかだね〜」
そう言って、レンはベットにボフンッと横たわる。微妙な事になっていたスカートがさらにはだけて、レンは頬をこすりつけるような仕草をベットの上でする。普段の俺なら苦笑でやりすごせただろう。
でも今の俺は自分が分からなくなっていた。
だからだろうか―
「う〜ん、気持ちいいー!私もこんなベットで寝たいな……」
「っ!?」
レンのその言葉で何かがはじけた。恐らくレンは純粋にそう思っただけなのだろう。
しかしその時の俺にはレンが媚びている見えた。
それがなんだか気に入らなかった。
「どうしたの?」
何気なくした問いさえ、レンが俺を見つめている。そう感じた。
上目遣い、潤んだ瞳、はだけた衣服、無垢な笑顔。
すべてが俺を誘っているように感じた。
そして俺は思う。
―レンを穢したい……と。
欲望だった。
望みだった。
最低最悪の感情だった。
きっと俺は俺を許せなくなる。
もちろんレンも俺は許してくれるはずはないだろう。
……分かっているのに!
俺の手がレンに伸びる。
「……?」
レンは近づく俺の手を緩んだ頬で見ている。
信頼しきっている表情だ。
チクリと胸が痛んだが、そんな事で今の俺は止まらなかった。
俺はベットに手をつく。
レンに覆い被さろうか、という体制だ。
「……あっ!」
レンは場違いな程素っ頓狂な声を上げて手をポンと叩く。
俺の動きが一瞬止まる。
「そういえばまだ君の名前聞いてなかったよね!」
レンはうっかりとしたという顔をしている。
「…な…まえ?」
「そう!名前!」
「……名前」
俺はなぞるように呟く。
俺は・・・・・・。
俺の名前は・・・・・・。
「匠だ」
自然と声が出た。
それと同時に救われたように俺は安堵する。
俺は匠だ。
レン…ゴメン、それと、ありがとう…。
「じゃあ、たっちゃんだね!」
「……それじゃあ、タッ○じゃねぇか。それとちゃんはやめてくれ……」
「う〜ん、ならたっくんは?」
「……まぁ、いいや」
軽口も叩けるようになった。
「ありがとな」
「えっ?何が?」
「いや、なんとなく……な」
「私もありがとう!」
「へっ?」
「なんとなくだよ!」
「そっか」
「うん!えへへー」
レンは今日で一番の笑顔を見せる。
「な、なんだよ」
「ん〜ん、嬉しいなって思って……」
「嬉しい?」
「うん!だって、たっくんと仲良くなれたもん!」
どうしてこんな事になったのかは分からない。答えもないだろう。レンに対して最低なことを考えたことだって消えたりはしない……。
それでもなんだか楽しかった。
出会ったばかりなのに……。
さっきまでは少し疎ましく思っていたはずなのに。
でもそんなことはきっと関係ないんだ。
俺は今、嬉しい。
それがすべてだ。
それは12月のある日のこと・・・・・・。
俺は―
匠はレンに救われた。
今はそれだけで良かった。
唾を飲み込む音。
誰にも聞こえないはずなのに、俺の中で大きく響く。
目の前には無邪気に微笑むレン。知り合って一時間ぐらいだろうか・・・・・・?
不思議と心安らぐ雰囲気を持っている少女。
いい子だろう。
それは間違いない(コーヒー無理矢理奢らされたけど・・・・・・)。
「このベットふかふかだね〜」
そう言って、レンはベットにボフンッと横たわる。微妙な事になっていたスカートがさらにはだけて、レンは頬をこすりつけるような仕草をベットの上でする。普段の俺なら苦笑でやりすごせただろう。
でも今の俺は自分が分からなくなっていた。
だからだろうか―
「う〜ん、気持ちいいー!私もこんなベットで寝たいな……」
「っ!?」
レンのその言葉で何かがはじけた。恐らくレンは純粋にそう思っただけなのだろう。
しかしその時の俺にはレンが媚びている見えた。
それがなんだか気に入らなかった。
「どうしたの?」
何気なくした問いさえ、レンが俺を見つめている。そう感じた。
上目遣い、潤んだ瞳、はだけた衣服、無垢な笑顔。
すべてが俺を誘っているように感じた。
そして俺は思う。
―レンを穢したい……と。
欲望だった。
望みだった。
最低最悪の感情だった。
きっと俺は俺を許せなくなる。
もちろんレンも俺は許してくれるはずはないだろう。
……分かっているのに!
俺の手がレンに伸びる。
「……?」
レンは近づく俺の手を緩んだ頬で見ている。
信頼しきっている表情だ。
チクリと胸が痛んだが、そんな事で今の俺は止まらなかった。
俺はベットに手をつく。
レンに覆い被さろうか、という体制だ。
「……あっ!」
レンは場違いな程素っ頓狂な声を上げて手をポンと叩く。
俺の動きが一瞬止まる。
「そういえばまだ君の名前聞いてなかったよね!」
レンはうっかりとしたという顔をしている。
「…な…まえ?」
「そう!名前!」
「……名前」
俺はなぞるように呟く。
俺は・・・・・・。
俺の名前は・・・・・・。
「匠だ」
自然と声が出た。
それと同時に救われたように俺は安堵する。
俺は匠だ。
レン…ゴメン、それと、ありがとう…。
「じゃあ、たっちゃんだね!」
「……それじゃあ、タッ○じゃねぇか。それとちゃんはやめてくれ……」
「う〜ん、ならたっくんは?」
「……まぁ、いいや」
軽口も叩けるようになった。
「ありがとな」
「えっ?何が?」
「いや、なんとなく……な」
「私もありがとう!」
「へっ?」
「なんとなくだよ!」
「そっか」
「うん!えへへー」
レンは今日で一番の笑顔を見せる。
「な、なんだよ」
「ん〜ん、嬉しいなって思って……」
「嬉しい?」
「うん!だって、たっくんと仲良くなれたもん!」
どうしてこんな事になったのかは分からない。答えもないだろう。レンに対して最低なことを考えたことだって消えたりはしない……。
それでもなんだか楽しかった。
出会ったばかりなのに……。
さっきまでは少し疎ましく思っていたはずなのに。
でもそんなことはきっと関係ないんだ。
俺は今、嬉しい。
それがすべてだ。
それは12月のある日のこと・・・・・・。
俺は―
匠はレンに救われた。
今はそれだけで良かった。
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